秋の気配がしだいに濃くなるとともに、かぜを引く子どもたちが増えています。さいわい、インフルエンザと新型コロナの流行はありません。外来診療が混み合ってきましたが、当院は人数制限をして患者さんをお断りする方式はとっておりません。かかりつけの方も初診の方もすべてお受けして、しっかり診療いたします。どうぞ安心してご利用ください。
・急性上気道炎(かぜ)が再び増加しています。主症状は咳と鼻水で、時に短期間の発熱を伴います。
・溶連菌による急性咽頭炎は減少傾向にありますが、これから寒くなるとまた増加します。主症状は発熱と咽頭痛です。
・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスによる急性細気管支炎は、ほとんど見られなくなりました。流行は収束していると思われます。
・伝染性紅斑(リンゴ病)が幼児・学童の間で散見されます。主症状は頬と四肢の紅斑です。
・手足口病が幼児・学童の間で再び急増しています。7月に次いで二度目のピークです。同一シーズンに「二度罹り」することもあります。主症状は発熱と四肢・口囲の発疹で、口内痛を伴うことがあります。
・胃腸炎が幼児・学童の間で散見されます。主症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。
・インフルエンザの流行はありません。散発的な発生はありますが、流行には至っていません。
・新型コロナウイルス感染症が成人の間で散見されます。幼稚園・小中学校での流行は報告されていません。小児の感染者の多くは家族内(成人からの)感染です。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に4.16人で減少傾向にあります。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。
・マイコプラズマによる肺炎が春以来、徐々に増加しています。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に1.50人で、ゆるい増加傾向にあります。秋から冬にかけて流行することが多いため、今後の動向に注意が必要です。
・水痘(水ぼうそう)が幼児・学童の間で散見されます。9月は4名を数えました。
・おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は今年、全国で28名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。風疹は今年、全国で5名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。麻疹は500〜1000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は12〜18人に感染させます(インフルエンザが1〜3人であることから、感染力の大きさを想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。成人男性(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が国の施策により行われています。本制度の期限が2024年度まで延長されました。該当する方は検査とワクチン接種をご考慮ください。当院においても受け付けています。また神奈川県は、昭和33年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた男性(国制度の昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までを除く)ならびに妊娠希望の女性(年齢制限なし)を対象とした抗体価測定(無料)を実施しています。こちらも当院において受け付けています。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。