インフルエンザが流行しています。神奈川県の1医療機関で1週間に55.12人(当院は75〜100人)のペースです。ただ11月の最終週から、大和市北部の小中学校で増加のペースが鈍ってきたように思われます。インフルエンザの流行ピークは例年6〜8週間ですので、そろそろ落ち着き始める時期かもしれません。
現在流行中のウイルスはA/H3N2(A香港型)です。A/H1N1(A09型、いわゆる新型)も少しあります。B型はまだです。B型は隔年流行する傾向があり、昨シーズンほとんど見られませんでしたので、今シーズンは要警戒です。まだ油断はできません。感染予防と拡大防止のために手洗いと咳エチケットを徹底しましょう。
麻疹の全国的な拡大は止まりました。感染者の主な年齢層は20〜30歳代ですが、乳幼児の感染も報告されています。麻疹は非常に重い病気です。医療が進んだ国でも死亡率は0.1%(1000人に1人)です。特効薬はありません。ワクチン接種が麻疹を抑える唯一の手段です。1歳の誕生日を迎えたらできるだけ早くワクチン接種を済ませましょう。幼稚園・保育園の年長児はできるだけ早く2回目のワクチン接種を済ませましょう。なお、麻疹を診療する際は特殊な隔離が必要ですので、医療機関を受診する前に必ず電話でご連絡ください。
・急性上気道炎(かぜ)が流行しています。主な症状は咳と鼻水で、短期間の発熱を伴うことがあります。
・溶連菌による急性咽頭炎が流行しています。発熱と咽頭痛と発疹(紅斑)が特徴です。
・アデノウイルスによる急性上気道炎が乳幼児の間で散見されます。長引く発熱が特徴です。発熱は1日の中での変動が大きく、午前に低く午後に高くなります。眼脂(目やに)を伴うことがあります。
・胃腸炎が全年齢層で散見されます。嘔吐、発熱、腹痛、下痢が特徴です。
・インフルエンザが最速ペースで流行しています。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は55.12人(当院は1週間に75〜100人)のペースです。乳幼児から小中学生まで幅広い年齢層で見られます。現在の流行の中心はA/H3N2(A香港型)です。従来のJ系統からK系統に変異したことが、流行拡大の一因と考えられています。詳細は「院長のコラム(2025年11月)」をご参照ください。
・新型コロナウイルス感染症は、子どもの間での流行はありません。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は1.20人です(2週間前は1.93人でした)。市内の保育園・幼稚園や学校での集団発生は報告されていません。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、倦怠感です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、稀に後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。小児において感染の2〜6週後、川崎病に類似した「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」が稀に生じる点も、普通のかぜと異なります。警戒はやはり必要です。
・マイコプラズマは昨年後半、8年ぶりの大きな流行がありました。今年も昨年と同様、9月以降に著しく増加しています。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴です。肺炎に進行するケースも少なからずあります。
・百日咳が10代以下の小児の間で流行しています。風邪と同じ症状(発熱、咳など)で始まりますが、熱が治まった後も咳が長く続きます。短い咳がコンコンコンコンと連続的に生じ、咳の終わりにヒューッと音を立てて息を吸い込む「発作性」の咳が特徴です。ただし成人が百日咳を発症しても症状は一般に軽く、普通の風邪と見分けることは困難です。百日咳ワクチン未接種の乳児がかかると重症化しやすく、肺炎や脳症を併発して死亡することもあります。耐性菌に感染する例も報告されています。生後2ヶ月を迎えたら速やかにワクチンを接種しましょう。百日咳の詳細は「院長のコラム」(2025年4月)をご参照ください。
・RSウイルスによる急性細気管支炎が乳幼児の間で流行しています。強い咳き込みと喘鳴が特徴です。肺炎に進行するケースもあります。呼吸が苦しそうなとき、哺乳や睡眠が著しく妨げられるときは、早めにご受診ください。
・水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は今年、全国で239名(神奈川県は41名で最多)の報告があります。風疹は今年、全国で11名(神奈川県で1名)の報告があります。麻疹は3月から都市部を中心に急増していましたが、9月から増加に歯止めがかかりました。麻疹は1000人に1人が死亡する重篤な病気です。麻疹の詳細は「院長のコラム」(2025年4月)をご参照ください。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチン接種です。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。なおワクチン不足の事態を受けて、現在2歳の方(2022年4月2日〜2023年4月1日生まれ)と今年小学校に入る方(2018年4月2日〜2019年4月1日生まれ)につきまして、接種期間が2027年3月31日まで延長されます。
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