2019年10月25日金曜日

当院のインフルエンザ治療方針(2019〜20年)、一部改訂

 当院は日本小児科学会の指針にほぼ準拠してインフルエンザの治療を行います。
・インフルエンザの重症化のリスクが高い場合(乳幼児、基礎疾患を持つ人)、抗インフルエンザ薬による治療を行います。
・リスクが高くなくても、抗インフルエンザ薬による治療を行います。ただし、インフルエンザの多くは自然治癒するため、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。
・インフルエンザの検査は、インフルエンザの診断に必須ではありません。検査の精度には限界があります(特に発症早期は偽陰性が多いです)。流行状況・接触歴や診察所見からインフルエンザと「臨床診断」する場合もあります。臨床診断にもとづいて抗インフルエンザ薬を投与する場合もあります。
・当院が推奨する抗インフルエンザ薬は、効果と安全性が確立しているタミフル、リレンザです。イナビル、ゾフルーザは小児への有効性が未確定のため、今年は使用を見合わせます。漢方薬の麻黄湯は、抗インフルエンザ薬の代替療法として有用です。
・インフルエンザ罹患中に異常行動による事故が時々報告されます。タミフルとの関連が疑われた時期がありましたが、現在では完全に否定されています。異常行動の原因は、インフルエンザウイルスによる一過性の脳炎です。インフルエンザ罹患中は、抗インフルエンザ薬の種類や服用の有無に関係なく異常行動が生じうるので、発症から少なくとも2日間は子どもを一人きりにしない、窓の鍵を確実に閉めるなど、転落や飛び出しなどの事故防止策を徹底してください(12月27日、追記)。

2019年10月1日火曜日

インフルエンザワクチンの予約を終了いたします

 9月5日(木)にインフルエンザワクチンの予約を開始しましたところ、10月1日(火)をもちまして予約枠552名分がすべて埋まりました。本日、予約を終了させていただきます。ご希望に沿えなかった皆様には心よりお詫び申し上げます。なお、キャンセルが出た場合は、あらためて少数の予約を承ることがございます。その場合はホームページ「お知らせ」に掲示いたします。
 今年度のインフルエンザワクチンの料金は、10月1日を過ぎましても消費税8%の設定で頂戴しております。

2019年9月26日木曜日

ロタウイルスワクチンが定期接種化されます(ただし1年後です)

 厚生労働省は、ロタウイルスワクチンを2020年10月から定期接種とする方針を決めました。原則として無料で接種できます。2020年8月以降に生まれた0歳児が対象となります。

2019年4月15日月曜日

視機能検査を導入いたします

[1] 乳幼児健診(8ヶ月児、1歳6ヶ月児)における視機能検査
 子どもの弱視は2〜3%の確率で生じます。弱視の95%は早期発見・早期治療により改善が見込まれます。
 当院は2019年4月から乳幼児健診において、機器を使用した視機能検査を実施いたします。近視、遠視、乱視、斜視、不同視、瞳孔不同を調べることができます。子どもへの身体的負担は一切ありません。また、検査にかかる費用はありません。

[2] 一般診療における視機能検査
 一般診療におきましても目に関する心配事のご相談を承ります。以下の症状が気になる方はお申し出ください。
  ・視線が合わない
  ・目の位置や動きが気になる
  ・片目を隠すと嫌がる
  ・ものを近くで見ようとする
  ・ものを見るとき、顔を傾ける
  ・ものを見るとき、目を細める
  ・ものを見るとき、上目遣いになる
  ・横目でものを見る
  ・明るい戸外で片目をつぶる
 視機能異常が疑われる場合、検査費が発生いたします。ご了承をお願い申し上げます。

2019年4月10日水曜日

風疹の第5期定期予防接種が始まりました

 2018年夏以降、風疹が流行しています。感染者の96%が成人で、男性は女性の約4.5倍、特に30〜40代の男性に多いことが報告されています。さらに女性では20〜30代が多く、先天性風疹症候群の発生が懸念されます。2012〜13年の流行時は、45人の先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれました。先天性風疹症候群の発生を防ぐ唯一の方法はワクチンの接種です。
 2019年4月1日時点で40〜57歳 (1962年4月2日〜1979年4月1日生まれ) の男性は、他の世代よりも風疹に対する免疫の保有率が低く、このことが風疹流行の原因になっています。そこで、この世代の男性を対象に、風疹の抗体検査とワクチン接種が費用の自己負担なく受けられる事業が、国 (厚生労働省)の事業として始まりました。風疹の第5期定期予防接種といいます。
 対象の男性は、まず血液を採取して、風疹に対する免疫の有無を調べる抗体検査を行います。その結果、免疫が十分でないことが判明したら、ワクチンを受けることができます。自治体からクーポン券が送られてきましたら、まずは医療機関にご相談ください。当院も本事業に参加しています。
 なお大和市は独自に、本事業の対象外の方に対する風疹予防接種の一部公費助成を行っています。ワクチン接種に際し、抗体検査は必須ではありません。対象者は、大和市在住の19歳以上の方で、妊娠を希望する女性、ならびに妊婦の夫です (妊婦は接種できません)。詳細は市役所にお問い合わせください。

2019年1月20日日曜日

抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の使用に関する当院の方針について

 新規の抗インフルエンザ薬である「ゾフルーザ」が脚光を浴びています。一回の服用で効く、従来の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)よりも切れ味が良い(良さそうだ)、何よりも新しいのがいい! などの利点が強調されています。おかげで売れ行きが良すぎて品不足に陥っている有様です。
 しかし本当に良いことばかりなのでしょうか?  罹病期間の短縮はタミフルと変わりありません。ウイルス排泄期間の短縮はタミフルよりも優れていますが、飛沫予防策の期間は変わりません。なによりも最大の欠点は、治療中に10%以上の確率でインフルエンザウイルスが耐性化する可能性が指摘されていることです。とくに小児では23%と高率です。耐性ウイルスに感染した場合、罹病期間もウイルス排泄期間もタミフルより長くなります(ほとんど効いていないのと同じことになります)。薬剤耐性化の傾向は A/H3N2型(香港型)で顕著です。今季ここまでA/H1N1型(いわゆる新型)が流行の中心でしたので、耐性化は大きな問題になりませんでしたが、今後A/H3N2型が流行した時にどうなるか心配です。また別の欠点として、薬価(値段)がタミフルの2倍近いことも挙げられます。
 以上の理由から、当院は今季、ゾフルーザの積極的な使用を控えています。従来の実績を踏まえて、タミフル、リレンザ、イナビルを第一選択薬にします。散剤(タミフル)がどうしても飲めない、吸入薬(リレンザ、イナビル)がどうしても吸えない、という小児に限って錠剤のゾフルーザを処方します。
 ゾフルーザは間違いなく良い薬です。今後のインフルエンザ治療薬の中心的存在になる可能性は大いにあります。耐性化のリスクが予想よりも低く、コストが下がれば、当院でも来季以降は積極的に採用してよいかなと考えています。