2012年12月27日木曜日

ヒブワクチン(追加免疫)の接種間隔が改訂されました

 ヒブワクチンの初回免疫(生後2ヶ月以降、4週以上の間隔で3回)のあと、追加免疫(4回目)はおおむね1年後に行うことが従来、定められていました。ゆえに、1歳6ヶ月すぎに、三種混合ワクチンと同時に接種することが通例でした。

 平成24年12月、追加免疫(4回目)は初回免疫から7ヶ月以上の間隔をあけて行うように改められました。したがって、生後5ヶ月未満で初回免疫を終えた児は、1歳の誕生日を迎えたらMRワクチン、肺炎球菌ワクチンと同時にヒブワクチンも接種できます。ヒブに対する免疫が1歳で減衰する事例が報告されており、早期の追加免疫が望まれていました。ヒブワクチンの4回目接種を早めに行うことをお勧めします。

2012年11月1日木曜日

4種混合ワクチンを開始しました

 当院は11月1日から四種混合ワクチン(従来のジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチンに加え、不活化ポリオワクチン)を導入しています。接種対象者は、生後3ヶ月以上 7歳6ヶ月未満の小児です。ただし、すでに三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチンを別々に接種している小児は、四種混合ワクチンに切り替えず、同じ方式で初期三回 + 追加一回を完了することになっています。

2012年10月31日水曜日

「日本脳炎ワクチン接種後に男児死亡」の報道(第一報、第二報)

 <第一報(10月17日)>

10月17日、岐阜県の小児科医院で、小学5年(10歳)の男児が日本脳炎ワクチンを接種したところ、直後に意識がなくなり、5分後に心肺が停止したことが報じられました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 現在、死因の調査中で結論は得られていませんが、厚生労働省は「アナフィラキシーショック」の可能性を指摘しています。アナフィラキシーショックは、薬物(ワクチンを含む)、食物、ハチ毒などが体内に入ることで生じる急性アレルギー反応です。頻度はきわめて低いですが、いつだれに生じるかを予測することは困難です。ワクチン後30分間の観察と症状発現時の処置が重要で、当院におきましても慎重に対応してまいります。また、専門医の間で、迷走神経反射の亢進による「神経原性ショック」の可能性も指摘されています。詳細が分かりましたら、続報をお届けいたします。

 19日に厚生労働省は、「ワクチンの積極的勧奨を直ちに中止することはない。まずは情報収集と事実関係の確認を進める」とのコメントを出しました。

 <追記(10月23日)>

厚生労働省は、10月31日に専門家による小委員会を開催し、今後の取り扱いを検討すると発表しました。現時点でワクチンを中止することは考えられていません。従来どおり、問診と診察を慎重に行うことによって、接種の適否を決めてまいります。

 <第二報(10月31日)>

10月31日、厚生労働省において専門医による委員会が開かれました。死亡例を詳細に検討した結果、「現時点で接種を中止する必要はない」と結論されました。当院におきましても引き続き、日本脳炎ワクチンの接種を行います。

 7月に急性脳症で死亡した方は、重い基礎疾患があり、ウイルス感染症が原因と考えられました。10月に接種直後に心肺停止で死亡した方は、致死性不整脈を起こしうる薬剤三種類(本来は併用してはならない)を内服しており、注射以外にもストレス、不安などあらゆる刺激が心肺停止の原因になりうることが指摘されました。したがって、日本脳炎ワクチン以外の要因が大きいと考えられます。

2012年7月20日金曜日

風疹の流行 ~妊婦は特に注意を~

 風疹の流行が報じられています。神奈川県では、本年7月15日までに、48人(男性34、女性14)が罹患しました。大和保健所管内では2人です。年齢別では20歳以上が75%以上を占めます。全国的には、関西圏と関東圏で流行しています。全患者594人の約80%が男性で、年齢では20~40代が目立ちます。この年代の男性の多くがワクチンを接種していないことが原因です。

 免疫不十分な妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児が先天性心疾患や難聴や白内障を発症する場合があります。定期接種の時期に該当する子どもはもちろんのこと、妊婦の家族や周囲にいる人(特にワクチン未接種の人)は、ワクチンを積極的に接種していただきたいと願います。また、妊娠中にワクチン接種はできませんので、妊娠を希望している女性は妊娠前にワクチン再接種について、医師にご相談ください。

 ※ 風疹の流行については、院長のコラム(2012年7月21日)もご参照ください。

2012年5月24日木曜日

小児の細菌性髄膜炎が半減 (厚労省研究班調査結果)

 ヒブワクチンの公費助成が始まった2011年の1年間で、ヒブ髄膜炎の発生率が、その前3年間の発生率の平均値と比べて半減したことが、厚生労働省の調査により明らかになりました。また、肺炎球菌による髄膜炎の発生率も、2011年の1年間で、同じく25%減少しました。これらの調査結果は5月24日に発表されました。公費助成による両ワクチンの普及が成果を出しつつあると考えられます。

 調査対象は、北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄の10道県です。小児科の入院施設のある病院から、患者の報告を集めて分析しました。2008年から2010年の3年間に5歳未満児のヒブ髄膜炎の発生率は10万人あたり7.1~8.3人(平均7.7人)でしたが、2011年は3.3人と約57%減少しました。また、肺炎球菌髄膜炎の発生率は、3年平均の10万人あたり2.8人から、2011年は2.1人と約25%減少しました。今後、両ワクチンの普及がさらに進むにつれて、発生率はもっともっと減少することが期待されます。
 
 欧米をはじめとする世界各国においても同様の成果が出されており、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンが小児の細菌性髄膜炎の防止に重要な役割を担うことがすでに証明されています。わが国においても、2013年度から両ワクチンが定期接種化されることが決定されました。ワクチン後進国と揶揄されていた日本も、ようやく欧米のレベルに追い付きつつあります。

 ヒブ髄膜炎と肺炎球菌髄膜炎の発生率は、生後2~3ヶ月を過ぎると急増します。病気(髄膜炎)は、ワクチンの接種が済むまで待ってくれません。「ワクチン・デビューは生後2ヶ月から」「BCGよりも先にヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを」「同時接種は安全かつ効果的」を合言葉に、当クリニックは両ワクチンの接種を積極的に行っています。細菌性髄膜炎からわが子を守るために、両ワクチンをできるだけ早い時期に接種することを、皆様にお勧めいたします。

2012年5月22日火曜日

ヒブワクチンなどの定期接種化

 厚生労働省は、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンを2013年度から定期接種化すると発表しました。これらの3ワクチンは現時点でも公費助成がなされていて、費用負担に関して実質的な変化はありません。
 水ぼうそう、おたふくかぜ、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンについては、残念ながら定期接種化を見送られました。実現に向けて、国に対する働きかけを続けてまいります。

2012年3月4日日曜日

ロタウイルスワクチン 接種開始月齢の一部改訂

 乳幼児の急性胃腸炎の主な原因であるロタウイルスのワクチン(ロタリックス)の接種対象者は、生後6週以後の乳児です。4週間以上の間隔をおいて2回接種し、2回目の接種を生後24週0日までに終えなければなりません。当初、1回目の接種を生後20週までに済ませることとしていましたが、腸重積のリスクをさらに減らすために、本年4月1日から1回目の接種を生後14週6日までに短縮いたします。2回目の接種の期限は従来どおりです。それ以上の月齢の子どもには、残念ながら接種できません。

 お勧めの接種スケジュールは、生後2ヶ月になったら直ぐにロタとヒブと肺炎球菌(できればB型肝炎も)の各ワクチンの同時接種です。ロタワクチンを先に単独で接種すると、ヒブと肺炎球菌の開始時期が遅れてしまいます。BCGはこれらのワクチンを2~3回済ませた後がよいでしょう。二回目以降のスケジュールのご相談は当院で承ります。

2012年2月19日日曜日

インフルエンザの出席停止期間の変更

 文部科学省は、小中高生や大学生がインフルエンザを発症した際の出席停止期間を、現行の「解熱後2日間」から「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日間」に改める方針を発表しました。幼稚園児は、「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日間」に改められます。

 タミフル、リレンザ、イナビルなど抗インフルエンザ薬の普及で解熱が早くなり、感染力が残ったまま登校するケースが増えているための措置です。4月1日から実施される予定です。