2019年6月10日月曜日

感染症情報(2019年6月前半)

・ かぜ(上気道炎)が流行しています。主な症状は咳と鼻水で、短期間の発熱を伴うことがあります。
・溶連菌による咽頭扁桃炎(のどかぜ)が流行しています。主な症状は熱と咽頭痛です。
・胃腸炎が流行しています。主な症状は発熱、嘔吐、下痢です。原因の一部にロタウイルスがあります。ワクチン非接種の場合、症状が長引いたり重くなったりすることがあります。
・細気管支炎が乳幼児の間で散見されます。主な原因はヒトメタニューモウイルスとRSウイルスです。咳き込みが悪化して呼吸が苦しそうになったら、早めに医療機関を受診してください。
・水ぼうそうが一部の小学校と幼稚園で見られます。おたふくかぜの流行はありません。どちらもワクチンの二回接種(初回は1歳時)をお勧めいたします。
・麻疹の発生報告が昨年末から続いています。今年、神奈川県で62件(全国で566件)の報告があります。過去10年で最多ペースの増加です。感染者の多くはワクチン接種歴がないか不明の成人です。ワクチン接種前の1歳未満児の罹患も報告されています。麻疹が疑われる症状(ワクチン未接種、接触歴あり、発熱・発疹・咳・鼻水・目の充血など)が出た場合、院内感染を防ぐため、前もってクリニックに電話した上で受診してください。
・風疹が昨年8月以来、関東地方を中心に流行中です。今年、神奈川県で205件(全国で1624件)の報告があります。この先も流行の拡大が予想されています。感染者の多くはワクチン接種歴がないか不明の成人です。妊婦が風疹に罹ると赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2019年1月に先天性風疹症候群の赤ちゃんが1人報告されました。前回、2013〜14年の流行時は、先天性風疹症候群の赤ちゃんが45人報告されました(うち11人は合併症で死亡しました)。風疹ワクチンを一生のうち二回接種していれば、風疹にかかることはほとんどありません。お腹の中の赤ちゃんも安全に守られます。1歳と就学1年前の二回、MRワクチンを定期接種しましょう。成人で風疹ワクチンを一回も接種していないか、一回しか接種していない場合、ぜひ二回接種を行ってください(ただし、女性は妊娠中に接種できません。接種後2ヶ月は避妊が必要です)。風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。本年4月から成人男性(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が開始されました。該当する方は検査とワクチンをご考慮ください。当院においても受け付けています。また大和市は、市内在住で19歳以上の女性(妊娠を希望する方。妊婦または妊娠の可能性がある方は除く)とその配偶者に対して、MRワクチン接種の一部公費助成を行っています。当院においても受け付けしています。詳細は大和市役所にお尋ねください。

2019年4月15日月曜日

視機能検査を導入いたします

[1] 乳幼児健診(8ヶ月児、1歳6ヶ月児)における視機能検査
 子どもの弱視は2〜3%の確率で生じます。弱視の95%は早期発見・早期治療により改善が見込まれます。
 当院は2019年4月から乳幼児健診において、機器を使用した視機能検査を実施いたします。近視、遠視、乱視、斜視、不同視、瞳孔不同を調べることができます。子どもへの身体的負担は一切ありません。また、検査にかかる費用はありません。

[2] 一般診療における視機能検査
 一般診療におきましても目に関する心配事のご相談を承ります。以下の症状が気になる方はお申し出ください。
  ・視線が合わない
  ・目の位置や動きが気になる
  ・片目を隠すと嫌がる
  ・ものを近くで見ようとする
  ・ものを見るとき、顔を傾ける
  ・ものを見るとき、目を細める
  ・ものを見るとき、上目遣いになる
  ・横目でものを見る
  ・明るい戸外で片目をつぶる
 視機能異常が疑われる場合、検査費が発生いたします。ご了承をお願い申し上げます。

2019年4月10日水曜日

風疹の第5期定期予防接種が始まりました

 2018年夏以降、風疹が流行しています。感染者の96%が成人で、男性は女性の約4.5倍、特に30〜40代の男性に多いことが報告されています。さらに女性では20〜30代が多く、先天性風疹症候群の発生が懸念されます。2012〜13年の流行時は、45人の先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれました。先天性風疹症候群の発生を防ぐ唯一の方法はワクチンの接種です。
 2019年4月1日時点で40〜57歳 (1962年4月2日〜1979年4月1日生まれ) の男性は、他の世代よりも風疹に対する免疫の保有率が低く、このことが風疹流行の原因になっています。そこで、この世代の男性を対象に、風疹の抗体検査とワクチン接種が費用の自己負担なく受けられる事業が、国 (厚生労働省)の事業として始まりました。風疹の第5期定期予防接種といいます。
 対象の男性は、まず血液を採取して、風疹に対する免疫の有無を調べる抗体検査を行います。その結果、免疫が十分でないことが判明したら、ワクチンを受けることができます。自治体からクーポン券が送られてきましたら、まずは医療機関にご相談ください。当院も本事業に参加しています。
 なお大和市は独自に、本事業の対象外の方に対する風疹予防接種の一部公費助成を行っています。ワクチン接種に際し、抗体検査は必須ではありません。対象者は、大和市在住の19歳以上の方で、妊娠を希望する女性、ならびに妊婦の夫です (妊婦は接種できません)。詳細は市役所にお問い合わせください。

2019年1月20日日曜日

抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の使用に関する当院の方針について

 新規の抗インフルエンザ薬である「ゾフルーザ」が脚光を浴びています。一回の服用で効く、従来の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)よりも切れ味が良い(良さそうだ)、何よりも新しいのがいい! などの利点が強調されています。おかげで売れ行きが良すぎて品不足に陥っている有様です。
 しかし本当に良いことばかりなのでしょうか?  罹病期間の短縮はタミフルと変わりありません。ウイルス排泄期間の短縮はタミフルよりも優れていますが、飛沫予防策の期間は変わりません。なによりも最大の欠点は、治療中に10%以上の確率でインフルエンザウイルスが耐性化する可能性が指摘されていることです。とくに小児では23%と高率です。耐性ウイルスに感染した場合、罹病期間もウイルス排泄期間もタミフルより長くなります(ほとんど効いていないのと同じことになります)。薬剤耐性化の傾向は A/H3N2型(香港型)で顕著です。今季ここまでA/H1N1型(いわゆる新型)が流行の中心でしたので、耐性化は大きな問題になりませんでしたが、今後A/H3N2型が流行した時にどうなるか心配です。また別の欠点として、薬価(値段)がタミフルの2倍近いことも挙げられます。
 以上の理由から、当院は今季、ゾフルーザの積極的な使用を控えています。従来の実績を踏まえて、タミフル、リレンザ、イナビルを第一選択薬にします。散剤(タミフル)がどうしても飲めない、吸入薬(リレンザ、イナビル)がどうしても吸えない、という小児に限って錠剤のゾフルーザを処方します。
 ゾフルーザは間違いなく良い薬です。今後のインフルエンザ治療薬の中心的存在になる可能性は大いにあります。耐性化のリスクが予想よりも低く、コストが下がれば、当院でも来季以降は積極的に採用してよいかなと考えています。

2018年12月14日金曜日

風疹が急増しています(第二報)

 風疹患者数は今なお増え続け、今年の累積患者数は全国で2452人(神奈川県内で343人)です。中でも30〜50代の男性が約7割を占め、20代の男女がこれに続きます(約2割)。ワクチン接種歴は「なし」か「不明」が大多数です。
 現在の状況は、前回に流行した2012〜13年と似ています。このときは先天性風疹症候群が45人を数えました。先天性風疹症候群は、生まれつきの心疾患・難聴・白内障などを伴う重い病気です。根本的な治療法はありません。ワクチンが唯一の予防法です。先天性風疹症候群の発生を防ぐためには、妊婦への感染を防止することが重要です。ワクチン未接種または一回のみ接種の成人(妊婦は除く)は、ワクチン接種を積極的に行いましょう。
 ・ 神奈川県は風疹抗体価の測定(血液検査)の費用助成を行っています。
 ・ 大和市は風疹ワクチン接種の費用助成を行っています。
 助成の対象には条件があります。詳細は窓口(受付)でお尋ねください。

2018年11月21日水曜日

保育園との連携を大切にしています

 このたび「十六山病児保育室Bambini」の連携医療機関を務めることになりました。十六山病児保育室Bambiniは、満1歳から小学2年生までの病児を預かる保育施設です。保育士と看護師が常駐し、子どもの保育と看護にあたっています。当院をかかりつけにされるお母さん(お父さん)の中に、子育てと仕事を両立すべく頑張っておられる方が大勢いらっしゃいます。子どもが病気にかかっても安心して預けられる病児保育施設があれば、仕事を休むことなく勤務を全うすることができます。子育て支援は小児科医の使命のひとつです。当院は十六山病児保育室Bambiniとの連携を重視していきたいと思います。
 https://yuunoufukushikai.net/16bambini/

 また、「ふたば林間保育園」の園医を以前から務めています。ふたば林間保育園は、生後8週から就学前までの子どもを預かる保育施設です。年二回の定期健康診断を行うなど、園児の健康に関するアドバイスを行っています。働くお母さん(お父さん)の子育て支援の一環として、ふたば林間保育園との連携も重視しています。
 http://www.futaba-nursery.jp

2018年8月17日金曜日

風疹が急増しています(9月24日付 追記あり)

 風疹が首都圏で急増しています。患者の多くは30〜50代の男性です。予防接種歴は、ほとんどが「不明」か「なし」です。
 風疹ウイルスは咳やくしゃみの飛沫を介して感染します。2〜3週間後に発熱、発疹(紅斑)、頸部リンパ節腫脹などの症状が出ます。妊娠初期の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんにも感染して、先天性心疾患・難聴・白内障などを起こす可能性があります。
 二度の予防接種で感染を防ぎ、流行を食い止めることができます。とくに妊婦のいる家庭では、家族など周囲の人がワクチンを接種して風疹を持ち込まない配慮が必要です。
 風疹抗体価の陰性または低値が予想される年代は以下の通りです。
  一度も予防接種を受けていない可能性が高い年代
   1979年4月1日までに生まれた男性(39歳以上)→ 特に要注意!
   1962年4月1日までに生まれた女性(56歳以上)
  一度しか予防接種を受けていない可能性が高い年代
   1990年4月1日までに生まれた男女(28歳以上)
 MRワクチン定期接種対象者(1歳児、就学前1年間の二回)は早めにワクチンを接種しましょう。母子手帳でワクチン二回接種が明らかな方、医療記録で風疹に罹患したことが明らかな方を除き、風疹に感染するリスクのある方もワクチンの接種を推奨いたします。

 追記(9月6日);風疹抗体検査にかかる費用の一部を負担する神奈川県の事業は平成30年度も継続中です(平成31年3月31日まで利用できます)。風疹抗体価の検査を希望される方はお申し出ください。対象者は、妊娠を予定または希望している未経産婦、その配偶者、風疹抗体価が低い妊婦の配偶者です。ただし、過去に風疹にかかっているか、過去に風疹ワクチン(またはMRワクチン)を接種している方は、対象から外れます。

 追記(9月23日);風疹患者数は今もなお増え続けており、9月19日の時点で昨年一年間の5倍を超える496人になりました。男性が401人、女性が95人です。特に30〜40代の男性に多く、ワクチンの接種歴は「なし」か「不明」が多くを占めています。患者数が1万人を超えた2012年の流行前の状況に似ています。詳細は2018年9月9日付の院長コラム「風疹ワクチンが胎児を障害から守る」をご参照ください。