2019年1月20日日曜日

抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の使用に関する当院の方針について

 新規の抗インフルエンザ薬である「ゾフルーザ」が脚光を浴びています。一回の服用で効く、従来の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)よりも切れ味が良い(良さそうだ)、何よりも新しいのがいい! などの利点が強調されています。おかげで売れ行きが良すぎて品不足に陥っている有様です。
 しかし本当に良いことばかりなのでしょうか?  罹病期間の短縮はタミフルと変わりありません。ウイルス排泄期間の短縮はタミフルよりも優れていますが、飛沫予防策の期間は変わりません。なによりも最大の欠点は、治療中に10%以上の確率でインフルエンザウイルスが耐性化する可能性が指摘されていることです。とくに小児では23%と高率です。耐性ウイルスに感染した場合、罹病期間もウイルス排泄期間もタミフルより長くなります(効かないことになります)。耐性化の傾向は A/H3N2型(香港型)で顕著です。今季ここまでA/H1N1型(いわゆる新型)が流行の中心でしたので、耐性化は大きな問題になりませんでしたが、今後A/H3N2型が流行した時にどうなるか心配です。また別の欠点として、コストがタミフルの2倍近いことも挙げられます。
 以上の理由から、当院は今季、ゾフルーザの積極的な使用を控えています。従来の実績を踏まえて、タミフル、リレンザ、イナビルを第一選択薬にします。散剤(タミフル)がどうしても飲めない、吸入薬(リレンザ、イナビル)がどうしても吸えない、という小児に限って錠剤のゾフルーザを処方します。
 ゾフルーザは間違いなく良い薬です。今後のインフルエンザ治療薬の中心的存在になる可能性は大いにあります。耐性化のリスクが予想よりも低く、コストが下がれば、当院でも来季以降は積極的に採用してよいかなと考えています。

2019年1月16日水曜日

こども発達支援シンポジウム


「第10回 こども発達支援シンポジウム」が3月21日(祝)にシリウスで開催されます。卓球の平野美宇選手の母親で特別支援学校の勤務経験がある平野真理子氏が「夢を育て、自立を促す子育て」を講演されます。そのあとにパネル・ディスカッション「地域で共に育つ・育てる・生きる」が行われます。玉井もパネリストの一人として、「小児科外来でできる発達障害の支援」のテーマで10分間の講演を行います。ご関心のある方はぜひご参加ください。参加申込の期間は2月1日から28日まで、申込先は大和市役所すくすく子育て課(電話046-260-5673、ファックス046-264-0142)です。先着200名です。

2019年1月14日月曜日

感染症情報(2019年1月前半)

・かぜ(上気道炎)が流行しています。主な症状は長引く咳と鼻水で、熱を伴うこともあります。
・溶連菌による咽頭扁桃炎(のどかぜ)が増えています。主な症状は熱と咽頭痛です。
・インフルエンザの流行が本格化しています。現在はA型が主流です。年末年始は成人が流行の中心でしたが、これからは小児の間でも流行が広がると予想されます。
・伝染性紅斑(リンゴ病)が市内の一部の保育園で今もまだ流行中です。
・胃腸炎にかかる子どもが増えています。主な症状は発熱、嘔吐、下痢です(軽度の場合は下痢のみ)。ノロウイルスも原因の一つと思われます。
・RSウイルスが散見されます。乳幼児がかかると細気管支炎になり、激しい咳と喘鳴を生じることがあります。呼吸が苦しそうに見えたら、早めに受診してください。
・百日咳が小学生の間で散見されます。長引く咳や嘔吐を伴う激しい咳は要注意です。
・水ぼうそうが一部の小学校で流行しています。ワクチン未接種または一回のみ接種の子どもに多いですが、二回接種の子どもにも稀に見られます。おたふくかぜの発生は散発的です。どちらもワクチンの二回接種をお勧めします。
・麻疹は過去12年間、当院で発生ゼロです。昨年、神奈川県で8件の報告がありました。
・風疹は過去15年間、当院でゼロです。しかし、昨年8月以来、首都圏を中心に全国で流行しています。昨年、神奈川県で402件(全国で2917件)の報告がありました。これは2012〜13年に流行したとき以来の大規模な流行です。感染者の多くは30〜50代の男性で(約7割)、20代の男女がこれに続きます(約2割)。妊婦が風疹にかかると赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。1歳と就学1年前の二回、MRワクチンを接種しましょう。成人でワクチン接種を希望される方は、大和市健康づくり推進課にお問い合わせください。条件によって補助金を支給されます。成人で血液中の風疹抗体価の測定を希望される方は、神奈川県厚木保健福祉事務所大和センターにお問い合わせください。条件によって補助金を支給されます。 

2019年1月9日水曜日

4〜5月の10連休中の診療体制について

 今年は4〜5月に10連休が予定されています。休暇を大いに満喫するのは良いこととして、医療などのライフラインに及ぶ影響が懸念されます。当院は10連休のうちの3日間、一般診療を通常どおりに行います。実施日は、4月27日(土)の午前、4月30日(火)の午前・午後、5月2日(木)の午前・午後です。

 その他の日に急病を発症された場合、大和市休日夜間急患診療所をご利用下さい(電話046-263-6800)。市内の開業医が交代で当番を務めています。診療時間は9〜12時、14〜17時、20〜23時です。受付終了はそれぞれの15分前です。大和市以外の方もご利用いただけます。

2018年12月14日金曜日

風疹が急増しています(第二報)

 風疹患者数は今なお増え続け、今年の累積患者数は全国で2452人(神奈川県内で343人)です。中でも30〜50代の男性が約7割を占め、20代の男女がこれに続きます(約2割)。ワクチン接種歴は「なし」か「不明」が大多数です。
 現在の状況は、前回に流行した2012〜13年と似ています。このときは先天性風疹症候群が45人を数えました。先天性風疹症候群は、生まれつきの心疾患・難聴・白内障などを伴う重い病気です。根本的な治療法はありません。ワクチンが唯一の予防法です。先天性風疹症候群の発生を防ぐためには、妊婦への感染を防止することが重要です。ワクチン未接種または一回のみ接種の成人(妊婦は除く)は、ワクチン接種を積極的に行いましょう。
 ・ 神奈川県は風疹抗体価の測定(血液検査)の費用助成を行っています。
 ・ 大和市は風疹ワクチン接種の費用助成を行っています。
 助成の対象には条件があります。詳細は窓口(受付)でお尋ねください。

2018年11月21日水曜日

保育園との連携を大切にしています

 このたび「十六山病児保育室Bambini」の連携医療機関を務めることになりました。十六山病児保育室Bambiniは、満1歳から小学2年生までの病児を預かる保育施設です。保育士と看護師が常駐し、子どもの保育と看護にあたっています。当院をかかりつけにされるお母さん(お父さん)の中に、子育てと仕事を両立すべく頑張っておられる方が大勢いらっしゃいます。子どもが病気にかかっても安心して預けられる病児保育施設があれば、仕事を休むことなく勤務を全うすることができます。子育て支援は小児科医の使命のひとつです。当院は十六山病児保育室Bambiniとの連携を重視していきたいと思います。
 https://yuunoufukushikai.net/16bambini/

 また、「ふたば林間保育園」の園医を以前から務めています。ふたば林間保育園は、生後8週から就学前までの子どもを預かる保育施設です。年二回の定期健康診断を行うなど、園児の健康に関するアドバイスを行っています。働くお母さん(お父さん)の子育て支援の一環として、ふたば林間保育園との連携も重視しています。
 http://www.futaba-nursery.jp

2018年8月17日金曜日

風疹が急増しています(9月24日付 追記あり)

 風疹が首都圏で急増しています。患者の多くは30〜50代の男性です。予防接種歴は、ほとんどが「不明」か「なし」です。
 風疹ウイルスは咳やくしゃみの飛沫を介して感染します。2〜3週間後に発熱、発疹(紅斑)、頸部リンパ節腫脹などの症状が出ます。妊娠初期の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんにも感染して、先天性心疾患・難聴・白内障などを起こす可能性があります。
 二度の予防接種で感染を防ぎ、流行を食い止めることができます。とくに妊婦のいる家庭では、家族など周囲の人がワクチンを接種して風疹を持ち込まない配慮が必要です。
 風疹抗体価の陰性または低値が予想される年代は以下の通りです。
  一度も予防接種を受けていない可能性が高い年代
   1979年4月1日までに生まれた男性(39歳以上)→ 特に要注意!
   1962年4月1日までに生まれた女性(56歳以上)
  一度しか予防接種を受けていない可能性が高い年代
   1990年4月1日までに生まれた男女(28歳以上)
 MRワクチン定期接種対象者(1歳児、就学前1年間の二回)は早めにワクチンを接種しましょう。母子手帳でワクチン二回接種が明らかな方、医療記録で風疹に罹患したことが明らかな方を除き、風疹に感染するリスクのある方もワクチンの接種を推奨いたします。

 追記(9月6日);風疹抗体検査にかかる費用の一部を負担する神奈川県の事業は平成30年度も継続中です(平成31年3月31日まで利用できます)。風疹抗体価の検査を希望される方はお申し出ください。対象者は、妊娠を予定または希望している未経産婦、その配偶者、風疹抗体価が低い妊婦の配偶者です。ただし、過去に風疹にかかっているか、過去に風疹ワクチン(またはMRワクチン)を接種している方は、対象から外れます。

 追記(9月23日);風疹患者数は今もなお増え続けており、9月19日の時点で昨年一年間の5倍を超える496人になりました。男性が401人、女性が95人です。特に30〜40代の男性に多く、ワクチンの接種歴は「なし」か「不明」が多くを占めています。患者数が1万人を超えた2012年の流行前の状況に似ています。詳細は2018年9月9日付の院長コラム「風疹ワクチンが胎児を障害から守る」をご参照ください。