インフルエンザの流行が拡大しています。10月下旬から一気に増えました。例年より2ヶ月以上早い流行入りです。現在の流行規模は、注意報の基準である「1週間に10人」を超え、警報の基準である「1週間に30人」に迫る勢いです。感染予防と拡大防止のために手洗いと咳エチケットを徹底するとともに、ワクチンの接種を検討しましょう。
麻疹の全国的な拡大は止まりました。感染者の主な年齢層は20〜30歳代ですが、乳幼児の感染も報告されています。麻疹は非常に重い病気です。医療が進んだ国でも死亡率は0.1%(1000人に1人)です。特効薬はありません。ワクチン接種が麻疹を抑える唯一の手段です。1歳の誕生日を迎えたらできるだけ早くワクチン接種を済ませましょう。幼稚園・保育園の年長児はできるだけ早く2回目のワクチン接種を済ませましょう。なお、麻疹を診療する際は特殊な隔離が必要ですので、医療機関を受診する前に必ず電話でご連絡ください。
・急性上気道炎(かぜ)が流行しています。主な症状は咳と鼻水で、短期間の発熱を伴うことがあります。
・溶連菌による急性咽頭炎が流行しています。発熱と咽頭痛と発疹(紅斑)が特徴です。
・アデノウイルスによる急性上気道炎が乳幼児の間で散見されます。長引く発熱が特徴です。発熱は1日の中での変動が大きく、午前に低く午後に高くなります。眼脂(目やに)を伴うことがあります。
・胃腸炎が全年齢層で散見されます。嘔吐、発熱、腹痛、下痢が特徴です。
・インフルエンザが流行しています。当院で1週間に約30人を超えるペースです。10月28〜31日の間に市内小中学校の16クラスで学級閉鎖がありました。保育園・幼稚園でも多発しています。今後も拡大が続くと見込まれます。
・新型コロナウイルス感染症は増減を繰り返して横ばい傾向です。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は2.10人です(2週間前は5.62人でした)。市内の保育園・幼稚園や学校での集団発生は報告されていません。たまに親から子に感染するケースが見られます。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、倦怠感です。現在の流行株の特徴は「激しい咽頭痛」です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、稀に後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。小児において感染の2〜6週後、川崎病に類似した「小児多系統炎症性症候群(MIS-C)」が稀に生じる点も、普通のかぜと異なります。警戒はやはり必要です。
・RSウイルスによる急性細気管支炎が乳幼児の間で流行しています。強い咳き込みと喘鳴が特徴です。肺炎に進行するケースもあります。呼吸が苦しそうなとき、哺乳や睡眠が著しく妨げられているときは、早めにご受診ください。
・マイコプラズマは昨年後半、8年ぶりの大きな流行がありました。今年後半も昨年と同様に増加傾向です(9月以降、増加しています)。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴で、肺炎に進行するケースも少なからずあります。
・百日咳が10代以下の小児の間で流行しています。風邪と同じ症状(発熱、咳など)で始まりますが、熱が治まった後も咳が長く続きます。短い咳がコンコンコンコンと連続的に生じ、咳の終わりにヒューッと音を立てて息を吸い込む「発作性」の咳が特徴です。ただし成人が百日咳を発症しても症状は一般に軽く、普通の風邪と見分けることは困難です。百日咳ワクチン未接種の乳児がかかると重症化しやすく、肺炎や脳症を併発して死亡することもあります。耐性菌に感染する例も報告されています。生後2ヶ月を迎えたら速やかにワクチンを接種しましょう。百日咳の詳細は「院長のコラム」(2025年4月)をご参照ください。
・水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は今年、全国で231名(神奈川県は40名で最多)の報告があります。風疹は今年、全国で10名(神奈川県で1名)の報告があります。麻疹が3月以来、都市部を中心に急増していましたが、9月以降ようやく増加に歯止めがかかりました。麻疹は1000人に1人が死亡する重篤な病気です。麻疹の詳細は「院長のコラム」(2025年4月)をご参照ください。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチン接種です。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。なおワクチン不足の事態を受けて、現在2歳の方(2022年4月2日〜2023年4月1日生まれ)と今年小学校に入る方(2018年4月2日〜2019年4月1日生まれ)につきまして、接種期間が2027年3月31日まで延長されます。
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