ヒブワクチンの公費助成が始まった2011年の1年間で、ヒブ髄膜炎の発生率が、その前3年間の発生率の平均値と比べて半減したことが、厚生労働省の調査により明らかになりました。また、肺炎球菌による髄膜炎の発生率も、2011年の1年間で、同じく25%減少しました。これらの調査結果は5月24日に発表されました。公費助成による両ワクチンの普及が成果を出しつつあると考えられます。
調査対象は、北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄の10道県です。小児科の入院施設のある病院から、患者の報告を集めて分析しました。2008年から2010年の3年間に5歳未満児のヒブ髄膜炎の発生率は10万人あたり7.1~8.3人(平均7.7人)でしたが、2011年は3.3人と約57%減少しました。また、肺炎球菌髄膜炎の発生率は、3年平均の10万人あたり2.8人から、2011年は2.1人と約25%減少しました。今後、両ワクチンの普及がさらに進むにつれて、発生率はもっともっと減少することが期待されます。
欧米をはじめとする世界各国においても同様の成果が出されており、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンが小児の細菌性髄膜炎の防止に重要な役割を担うことがすでに証明されています。わが国においても、2013年度から両ワクチンが定期接種化されることが決定されました。ワクチン後進国と揶揄されていた日本も、ようやく欧米のレベルに追い付きつつあります。
ヒブ髄膜炎と肺炎球菌髄膜炎の発生率は、生後2~3ヶ月を過ぎると急増します。病気(髄膜炎)は、ワクチンの接種が済むまで待ってくれません。「ワクチン・デビューは生後2ヶ月から」「BCGよりも先にヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを」「同時接種は安全かつ効果的」を合言葉に、当クリニックは両ワクチンの接種を積極的に行っています。細菌性髄膜炎からわが子を守るために、両ワクチンをできるだけ早い時期に接種することを、皆様にお勧めいたします。