2024年10月16日水曜日

感染症情報(2024年10月前半)

 秋の気配がしだいに濃くなるとともに、かぜを引く子どもたちが増えています。さいわい、インフルエンザと新型コロナの流行はありません。外来診療が混み合ってきましたが、当院は人数制限をして患者さんをお断りすることはいたしません。かかりつけの方も初診の方もすべてお受けして、しっかり診療いたします。どうぞ安心してご利用ください。

・急性上気道炎(かぜ)が再び増加しています。主症状は咳と鼻水で、時に短期間の発熱を伴います。

・溶連菌による急性咽頭炎は減少傾向にありますが、これから寒くなるとまた増加します。主症状は発熱と咽頭痛です。

・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスによる急性細気管支炎は、ほとんど見られなくなりました。流行は収束していると思われます。

・伝染性紅斑(リンゴ病)が幼児・学童の間で散見されます。主症状は頬と四肢の紅斑です。

・手足口病が幼児・学童の間で9月から再び増加しています。7月に次いで二度目のピークです。原因となるウイルスが数種類あるため、同一シーズンに「二度罹り」することもあります。主症状は発熱と四肢・口囲の発疹で、口内痛を伴うことがあります。

・胃腸炎が幼児・学童の間で散見されます。主症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。

・インフルエンザの流行はありません。散発的な発生はありますが、流行には至っていません。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に0.70人です(1週間に1.0人が「流行入り」の目安とされています)。

・新型コロナウイルス感染症が成人の間で散見されます。幼稚園・小中学校での流行は報告されていません。小児の感染者の多くは家族内(成人からの)感染です。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に3.19人で減少傾向にあります(半月前は4.16人でした)。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。

・マイコプラズマによる肺炎が春以来、徐々に増加しています。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に2.17人で、ゆるい増加傾向にあります(半月前は1.50人でした)。秋から冬にかけて流行することが多いため、今後の動向に注意が必要です。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり、数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴です。

・水痘(水ぼうそう)が幼児・学童の間で散見されます。9月は4名を数えました。

・おたふくかぜ流行はありません。

・麻疹は今年、全国で31名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。風疹は今年、全国で5名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。麻疹は5001000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は1218人に感染させます(インフルエンザが13人であることから、感染力の大きさを想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。成人男性(昭和3742日から昭和5441日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が国の施策により行われています。本制度の期限が2024年度まで延長されました。該当する方は検査とワクチン接種をご考慮ください。当院においても受け付けています。また神奈川県は、昭和3342日から昭和6341日までに生まれた男性(国制度の昭和3742日から昭和5441日までを除く)ならびに妊娠希望の女性(年齢制限なし)を対象とした抗体価測定(無料)を実施しています。こちらも当院において受け付けています。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(56歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。

2024年10月15日火曜日

インフルエンザワクチンの予約受付を終了いたします

 10月15日(火)をもちまして、インフルエンザワクチン(皮下注射、経鼻)の予約受付を終了いたします。ご予約いただきました皆様に感謝を申し上げます。予約できなかった皆様にお詫びを申し上げます。

 当院のインフルエンザワクチンは11月28日までの日程です。ご予約されておられる皆様におかれましては、日時の再確認をよろしくお願いいたします。

2024年9月25日水曜日

乳幼児の予防接種が新しくなります

 41日に四種混合ワクチン (ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ) とヒブワクチンが一体化され、五種混合ワクチンになりました。注射の本数が一つ減りました。

 101日に肺炎球菌ワクチン15価から20に換わります。約100種類の血清型がある肺炎球菌の中で、重症化しやすい20種類の血清型を含むワクチンです。15価よりも優れた予防効果を期待できます。

「四種混合ワクチン + ヒブワクチン」「15価肺炎球菌ワクチン」を接種した場合、残りの必要回数も同じワクチンを接種することが原則とされています。ただし「15価肺炎球菌ワクチン」を途中で「20価肺炎球菌ワクチン」に変更することは、保護者のご同意をいただければ認められています。当院は、より良い予防効果を得るために、20価ワクチンの接種を推奨しています。

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の接種機会を逃した方に <続報>

199742日〜200741日生まれの女性で、過去にHPVワクチンの3回接種を完了していない方を対象に、公費助成(自己負担なし)によるキャッチアップ接種が2025331日まで行われています。


20249月末までに1回目の接種を始めると、標準的な接種間隔(6ヶ月間)で3回接種を完了できます。101日以降に接種を始める場合は、接種間隔を詰めることにより、最短4ヶ月間で(12回目を1ヶ月以上の間隔、23回目を3ヶ月以上の間隔)接種を完了できます。1回目の最終日は1126です。この日を過ぎると、3月末日までに接種を完了できません。


たとえば、20241126日(火)に1回目接種、122627日に2回目接種、202532731日に3回目接種を行うことができます。もしも1128日(木)以降に1回目接種を行った場合、当院は年末年始に休診日をいただくため2回目接種は20251月4日以降になり、3回目接種を3月31日までに完了することができません。


公費助成でHPVワクチンを接種できる最後のチャンスです。当院は接種を推奨しています。

2024年8月27日火曜日

病児保育事業の存続に向けて

 十六山病児保育室Bambini9月末日をもって閉鎖される予定です。当院かかりつけの保護者の方々から、「わが子が病気になった時の預け先がなくなる」との不安と困惑の声が数多く寄せられています。

 働く女性たちが社会で活躍するために、病児保育の存在は不可欠と考えます。公共性の高い病児保育事業を存続させるために、当院はオンライン署名活動に協賛いたします。皆様のお声を大和市に届けていただければ幸いです。詳細は https://chng.it/dFTjvWzHrq をご参照ください。

2024年7月25日木曜日

経鼻投与型インフルエンザワクチン「フルミスト」

鼻粘膜に噴霧することで接種する「フルミスト点鼻液」が20243月に承認されました(欧米ではすでに使用されているワクチンです)。日本では今年10月から使用が正式に開始されます。

フルミストは4種類のインフルエンザワクチン株を含有する弱毒生ワクチンです。左右の鼻腔に各0.1mLを噴霧することでインフルエンザに対する免疫を誘導します。注射が苦手なお子さんには朗報です。対象年齢は2歳〜18、接種回数は1です。当院においても接種枠を設けます。供給数や価格など詳細は未定です。決まりしだいお知らせいたします。

2024年7月1日月曜日

開院20周年のご挨拶

 当院は72日をもちまして開院20周年を迎えました。2004年(平成16年)72日に南林間の地で産声を上げて以来、大過なく診療に従事できましたことは、ひとえに皆様のおかげです。この機会を借りまして、深く感謝を申し上げます。

 今後とも質の高い小児医療に尽力いたす所存です。皆様の温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。