2023年3月17日金曜日

感染症情報(2023年3月前半)

・急性上気道炎(かぜ)が乳幼児・学童の間で散見されます。主症状は鼻水と咳です。短期間の発熱を伴うこともあります。花粉症の主症状は鼻水・鼻づまりと目の痒みですが、かぜとの鑑別が難しい場合もあります。

・溶連菌、アデノウイルスによる急性上気道炎が散見されます。

・急性胃腸炎(ノロウイルス等)が散見されます。主症状は嘔吐、発熱、腹痛、下痢です。嘔吐物や便に触れた手を石鹸と流水でよく洗うことが、感染拡大防止に役立ちます。

・インフルエンザ(A型)は流行のピークを越えました。当院で1週間に10人前後です。幼稚園と学校が春休みに入ればさらに減少すると思われます。B型は今のところ見られません。主症状は発熱、倦怠感、頭痛、関節痛、咽頭痛、咳、鼻水です。マスク着用、手洗い励行など、感染拡大防止対策は新型コロナウイルスと同じです。

・新型コロナウイルス感染症(第8波)は収束に向かっています。当院で1週間に02人です。小児における新型コロナ感染症の主症状は、13日間の発熱と倦怠感で、咽頭痛、頭痛、咳、鼻水、下痢等を伴うことがあります。漢方薬(麻黄湯、葛根湯など)が発熱期間の短縮にしばしば有効です。重症化率はきわめて低いですが、基礎疾患(慢性肺疾患、心疾患、腎疾患、糖尿病など)を持つ小児は要注意です。当院は、第9波以降に備えたワクチン接種を推奨しています。20243月まで「特別臨時接種」として無料で接種できます。

・水ぼうそう、おたふくかぜの流行はありません。

・麻疹6名、風疹15名が昨年、全国で報告されました(神奈川県内の麻疹1名、風疹1名が含まれます)。今年、麻疹が東京都で1例報告されています。感染者の多くはワクチン接種歴がないか不明の成人です。妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70例の報告があります。1歳と就学1年前の2回、MRワクチンを接種しましょう。成人で風疹ワクチンを一回も接種していないか、一回しか接種していない場合、ぜひ二回接種を行ってください(ただし、女性は妊娠中に接種できません。接種後2ヶ月は避妊が必要です)。風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。成人男性(昭和3742日から昭和5441日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が国の施策により行われています。本制度の期限が2023331日までに延長されました。該当する方は検査とワクチン接種をご考慮ください。当院においても受け付けています。また大和市は、市内在住で19歳以上の妊娠を希望する女性(妊婦または妊娠の可能性がある方は除く)とその配偶者に対して、MRワクチン接種の一部公費助成を行っています。当院においても受け付けしています。接種前に申請が必要です。詳細は大和市役所にお尋ねください。

スギ・ヒノキ花粉情報(2023年 第4報)

 スギ花粉の飛散がピークを迎えています。今年の飛散量は「昨年比2倍以上、過去10年で最大」です。大量飛散のためピークが長期化し3月下旬まで続くと予想されています。

 ヒノキ花粉の飛散も始まっています。気温が平年より高いため、ピークは例年より早い3月下旬から始まる見込みです。3月下旬はスギとヒノキの飛散時期が重なるため、両方にアレルギーを有する方は特に注意が必要です。

 帰宅後の花粉対策のポイントは、身体に付いた花粉を室内に持ち込まないことです。玄関で衣服や髪に付いた花粉をはたき落とす、うがい・洗顔・鼻かみをする、などが勧められます。

 当院はアレルゲン免疫療法を行っています。花粉症を根本から治そうという取り組みです。毎年の花粉症にお悩みの方はどうぞご相談くださいhttp://tamai-kids.blogspot.com/2020/11/blog-post.html

2023年3月16日木曜日

新型コロナワクチン情報 (68)  〜 3月16日 〜

  成人用(12歳以上)の接種は328日をもちまして終了いたします。大和市による集団接種(12歳以上)は2023年4月以降も継続されます。

 小児用(511歳)328日以降、① 従来株と ② オミクロン対応株(BA.4/5)に分かれます。① 従来株は初回接種(12回目)用です。3週間以上あけて2回接種します。接種日時は1430分〜1530分(金曜日)です。② オミクロン対応株は追加接種(3回目)用です。初回接種から3ヶ月以上あけて1回接種します(従来の5ヶ月が3ヶ月間隔に短縮されました)。接種日時は930分〜11時(土曜日)です。予約枠を5月6日まで設定しています。

 乳幼児用(6ヶ月〜4歳)は従来株です。初回接種(12、3回目)のうち、1回目から2回目まで3週間以上の間隔、2回目から3回目まで8週間以上の間隔が必要です。接種日時は、930分〜11時(火・木曜日)です。時間帯を930分と10時に区切っています。予約枠を427日まで設定いたしました。

当院の接種予約は「大和市予約システム」を通じて行っています。市役所ホームページをご参照ください。当院の電話や窓口での受付は行っておりません。

追記(3月15日):厚生労働省が示した方針をお伝えいたします。(1) 65歳以上の高齢者と5歳以上の基礎疾患保有者を対象に、5月8日から次の接種が始まります。年2回の接種機会が設けられます。(2) 12歳以上65歳未満の方(基礎疾患保有者を除く)は、5月7日で接種がいったん終了します。次の接種は9〜12月の予定です。年1回の接種機会が設けられます。(3) 小児用(5〜11歳)と乳幼児用(生後6ヶ月〜4歳)ワクチンにつきましては、規定の回数の接種が完了していない方を対象に、接種体制が確保されます。当院におきましても接種を継続いたします。(4) 公費負担により無料となる「特例臨時接種」は2024年3月31日まで継続されます。以後、一部自己負担が生じる「定期接種」に移行することが検討されています。

追記(3月17日):小児用(511歳)ワクチンについて、今後の接種体制が複雑になりますので、以下に解説いたします。① 初回接種(2回)を終えていない場合 → 従来型を2回接種します。従来型による初回接種を終えないと、オミクロン株対応型を接種できません。② 従来型ワクチンで初回接種(2回)を終えている場合 → 2023831日までにオミクロン株対応型を接種できます(3回目)。なお、重症化リスクのある基礎疾患保有者は、57日までに3回目、さらに58日〜831日に4回目を接種できます。③ 従来型ワクチンで初回接種2回と追加接種1回(計3回)を終えている場合 → 2023831日までにオミクロン株対応型を接種できます(4回目)。なお、重症化リスクのある基礎疾患保有者は、57日までに4回目、さらに58日〜831日に5回目を接種できます。 202391日以降開始のワクチン(使用種類は未定)は、初回接種(2回)を終えた全員が対象者となる予定です。

2023年3月14日火曜日

定期予防接種と乳幼児健診の受託について

当院は自治体の委託を受けて、定期予防接種と乳幼児健診を実施しています。以下の地域に在住されている方が対象です。自治体の費用負担により無料で受けることができます。

定期予防接種:大和市、綾瀬市、座間市、海老名市

乳幼児健診(8ヶ月、16ヶ月):大和市、綾瀬市(綾瀬市は2023年4月から)

2023年3月9日木曜日

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)の変更点について

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(= 子宮頸がん予防ワクチン)の内容や接種方法が20234月に改訂されます。

(1)  9HPVワクチンが定期接種化されます

 子宮頸がんの発生に関わるHPVのうち、現在使用されている4価ワクチンよりも多い9種類の遺伝子型を標的としており、子宮頸がんの予防効果がより高まります(64.971.2%から81.090.7%へ)。1, 2回目を4価ワクチンで接種した場合も、残りの回数を9価ワクチンに切り替えることができます。

(2)  15歳未満の女性は、9価ワクチンの2回接種が標準になります

 9歳以上15歳未満の女性は、612ヶ月(少なくとも5ヶ月)の間隔をおいて2回接種で9価ワクチンを完了することができます。1回目を15歳未満で接種すれば、2回接種での完了が可能です。今後は2回接種が標準になりますが、従来どおりの3回接種(026ヶ月間隔)を選択することもできます。

 15歳以上の女性(接種する機会を逸した方を対象とする “キャッチアップ接種” を含む)は、3回接種の対象です。4価ワクチンから9価ワクチンに途中で切り替える場合も、3回接種が必要です。