2015年11月8日日曜日

インフルエンザ時の異常行動

 インフルエンザに罹っている間、高所から飛び降りたり道路に突然走り出したりする、重度の異常行動を起こした症例が昨季、57人(年齢1〜16歳)だったことが厚生労働省・専門家会議から報告されました。例年並みの報告数です。
 タミフル、リレンザなど抗インフルエンザ薬を服用していたのは21人(37%)、薬をまったく服用していなかったのは11人(19%)。残り25人は解熱剤のみ服用や不明などでした。
 これらの結果から、抗インフルエンザ薬と異常行動の因果関係は示唆されません。インフルエンザに罹ったら、薬の服用の有無にかかわらず2〜3日間、異常行動に注意する必要があります。インフルエンザ治療の大事な一項は「事故防止」にあります。

エンテロウイルスD68型 速報

 エンテロウイルスD68型(EVD-68)による下気道感染症(主に喘息性気管支炎)のごく一部に急性弛緩性麻痺が見られるとの報告が相次いでいます。昨秋に米国でアウトブレイクし、わが国への拡散が懸念されていました。このたび日本小児神経学会が緊急調査を行った結果、8月1日からの約3ヶ月間で47例の中間報告がありました(11月2日付)。年齢は0〜11歳(中央値3歳)です。
 急性弛緩性麻痺はきわめて頻度の低い合併症であり過度に恐れる必要はありませんが、万一、呼吸器症状が続いている最中に四肢の麻痺が現れた場合は早急に医療機関を受診してください。

2015年11月1日日曜日

インフルエンザワクチン 最新情報 〜重症化の阻止に有効〜

 慶応大学小児科グループが、昨季のインフルエンザワクチンが小児の入院を半分以下に減らしたとする調査結果を発表しました。 
 調査の対象は生後6ヶ月から15歳までの小児3752人です。A型インフルエンザの発症者でみると、ワクチンを接種していた小児で重症化して入院したのは100人あたり7人弱。未接種の小児に比べて、重症化するケースを55%減らしました。また、A型インフルエンザの発症自体も37%減らしました。ただし、生後6〜11ヶ月の乳児においては、効果がはっきりしませんでした。
 インフルエンザワクチンの効果は100%には及びませんが、接種しなければ効果はゼロです。やはり接種をお勧めいたします。

2015年9月1日火曜日

インフルエンザワクチン 最新情報 〜 乳児への効果は劣るか!? 〜

 慶応大学小児科グループが、インフルエンザワクチンは「生後6〜11ヶ月の乳児で効果を確認できず。1〜12歳の幼児・学童で6〜7割の発症防止効果が見込まれる」「重症化を防ぐ効果は、A型で全年齢を通じて76%、B型で確認できず」と発表しました(9月1日、米科学誌プロスワン)。
 乳児への効果に疑問が投げかけられました。乳児をもつ家族における対応法は、まず両親が接種する、兄と姉も(いれば)接種する、孫と接する機会の多い祖父母も接種する。インフルエンザウイルスを家庭内に持ち込まないことで乳児を守る。さらに万全を期すならば、乳児にも接種する(とくに保育所に通う乳児には接種を勧める)。以上の手順が現実的であろうと思います。
 ただし今季のワクチンの組成は、昨季のそれとは異なり大幅に改良されています。昨季より良い成績になることを期待しています。



2015年7月26日日曜日

水痘(水ぼうそう)の大幅な減少

 水痘(水ぼうそう)の患者数が昨年末から大幅に減少し、今年前半は過去10年間で最低水準になったことが、国立感染症研究所の調査で明らかにされました。
 昨年10月から水痘ワクチンが定期接種化され、免疫を持つ子どもが増えたため、流行が抑えられている可能性があります。
 水痘は、毎年100万人が発症し、4000人が入院し、20人が亡くなる病気です。1歳の誕生日を迎えたら、麻疹・風疹(MR)ワクチンなどと同時に水痘ワクチンを接種しましょう。また、1回目から3ヶ月以上たてば2回目の接種ができます。

2015年6月28日日曜日

ドクターズ・ファイル

ドクターズ・ファイルに紹介記事が掲載されました。ホームページをご参照ください。

2015年5月15日金曜日

日本が「麻疹 排除」の認定へ

 日本は「麻疹の排除状態にある」と世界保健機構(WHO)から認定されました。麻疹の排除状態の定義は「国内での土着株による麻疹感染が12ヶ月以上ないこと」です。数年前まで日本は「麻疹の輸出国」と非難されていたことを考えると隔世の感があります。この快挙は、MRワクチンの接種率が1期2期ともに95%以上を達成していることによります。
 ただし、外国からの輸入株(昨年は主にフィリピン株)による麻疹の発生が散発的に続いています。MRワクチンの対象年齢の子どもは、できるだけ早い時期にワクチンを接種しましょう。1期は1歳の誕生日から、2期は幼稚園・保育所の年長組になった日(4月1日)から、それぞれ1年間です。
 1歳未満の赤ちゃんは、麻疹から身を守る術がありません。高い接種率を保つことで麻疹の排除状態を維持し、赤ちゃんが麻疹感染に怯えずにすむ世の中にしたいものです。


2015年4月3日金曜日

子どもの総合医

 平成27年4月1日、「子どもの総合医;地域総合小児医療認定医」を取得いたしました。この資格は「子どもを守るために以下の責務を果たすことのできる小児科専門医」と規定されています。
・ 地域の子どもの健全な心身の発育のために育児支援を行い、医療・保健・福祉の推進に寄与する。
・ 障害のある子どもを含め、子どもの代弁者として、すべての子どもと家族が適切な身体的・精神的・社会的支援を受けることができるように寄与する。
・ 子どもが適切な医療・保健・福祉を継続して受けられるように、医療機関、行政機関、教育機関、地域社会などの「子どもの関わる人々」とのネットワークを構築し、その中心的な役割を果たす。
・ 救急・時間外診療を含めた地域の一次・二次医療を実践する。病状によっては、専門医療機関とも適切に連携する。
・ 健康増進の啓発活動、教育、調査・研究活動を行う。
・ 地域の子どもを守るために地域政策へ積極的に貢献する。
 これらの理念は、当院が開業以来ずっと目指してきたことです。専門医の取得は、長年にわたる活動が評価された結果と考えています。これからも皆様の健康のお役に立てる小児科玉井クリニックであるように努めてまいります。

2015年3月29日日曜日

麻疹・風疹ワクチンの公費助成(平成27年度)

 大和市は平成27年度においても、成人の麻疹・風疹(MR)ワクチンの接種費用を助成します。対象者は、大和市に居住していて、(1) 妊娠を希望する女性(妊娠中またはその可能性のある方は接種できません)、(2) 現在妊娠中の女性の夫、です。ただし、風疹に明らかに罹ったことがある方、ワクチンをすでに2回接種している方、平成25年度以降に大和市の助成制度をすでに利用した方は対象外です。助成期間は平成27年4月1日から平成28年3月31日までです。当院においても接種しています。接種費用は3720円です(自費接種9720円のところ、大和市から6000円の助成があります)。予約が必要ですので、窓口または電話(046-277-3030)でお問い合わせください。

 風疹は平成25年に全国的な流行がありました。その影響で、先天性風疹症候群に罹った赤ちゃんが9人いました。たいへんに不幸なことです。先天性風疹症候群はワクチン一本で防げる病気です。免疫抗体の保有者が少ない20〜40代の方々は、ぜひワクチンの接種をご考慮ください。