秋の気配がしだいに濃くなるとともに、かぜを引く子どもたちが増えています。さいわい、インフルエンザと新型コロナの流行はありません。外来診療が混み合ってきましたが、当院は人数制限をして患者さんをお断りすることはいたしません。かかりつけの方も初診の方もすべてお受けして、しっかり診療いたします。どうぞ安心してご利用ください。
・急性上気道炎(かぜ)が再び増加しています。主症状は咳と鼻水で、時に短期間の発熱を伴います。
・溶連菌による急性咽頭炎が学童の間で増加してきました。これから寒くなると流行すると予想されます。主症状は発熱と咽頭痛です。
・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスによる急性細気管支炎は、ほとんど見られなくなりました。流行は収束していると思われます
・伝染性紅斑(リンゴ病)と手足口病の流行はピークを過ぎました。しかし手足口病はまだ時々見られます。同一シーズンに「二度罹り」することもあります。主症状は発熱と四肢・口囲の発疹で、口内痛を伴うことがあります。
・胃腸炎が幼児・学童の間で増えてきました。主症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。
・インフルエンザが一部の学校・幼稚園で発生しています。地域全体への拡がりはありませんが、冬に向けて増えることが予想されます。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に1.41人で、流行入りの目安とされる1.0人を超えました(半月前は0.96人でした)。
・新型コロナウイルス感染症が成人の間で散見されます。幼稚園・小中学校での流行は報告されていません。小児の感染者の多くは家族内(成人からの)感染です。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に1.25人で減少傾向にあります(半月前は1.45人でした)。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。
・マイコプラズマによる肺炎が春以来、幼児・学童の間で散見されます。神奈川県の定点医療機関の報告数は1週間に1.42人で、緩い減少傾向にあります(半月前は1.83人でした)。しかし秋から冬にかけて流行することが多いため、今後の動向に注意が必要です。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり、数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴です。
・水痘(水ぼうそう)が幼児・学童の間で散見されます。11月前半で2名を数えました。ワクチン二回接種後でも感染することがありますが、症状は一般に軽度です。
・おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は今年、全国で39名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。2週間で5名増えました。風疹は今年、全国で5名の報告があります(神奈川県内はゼロです)。麻疹は500〜1000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は12〜18人に感染させます(インフルエンザが1〜3人であることから、感染力の大きさを想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。成人男性(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が国の施策により行われています。本制度の期限が2024年度まで延長されました。該当する方は検査とワクチン接種をご考慮ください。当院においても受け付けています。また神奈川県は、昭和33年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた男性(国制度の昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までを除く)ならびに妊娠希望の女性(年齢制限なし)を対象とした抗体価測定(無料)を実施しています。こちらも当院において受け付けています。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。