2025年1月12日日曜日

感染症情報(2025年1月前半)

  保育園・幼稚園・学校の冬休みは、全国一斉の学級閉鎖と同等の効果を招き、かぜやインフルエンザが一時的に急減しました。当院におきましても、14日の診療再開以来の1週間、混み合うことはほぼありませんでした。しかし保育園・幼稚園・学校の再開に伴い、かぜやインフルエンザの流行がまた始まると予想されます。当院は人数制限をして患者さんをお断りすることはいたしません。かかりつけの方も初診の方もすべてお受けしてしっかり診療いたしますので、どうぞ安心してご来院ください。

・急性上気道炎(かぜ)がみられます。長引く咳と鼻水が特徴です。発熱を伴うこともあります。

・溶連菌による急性咽頭炎が学童の間でみられます。主症状は発熱と咽頭痛です。発疹(紅斑)を伴うこともあります。

・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス(急性細気管支炎の原因となるウイルス)が散発しています。ヒトメタニューモウイルスの詳細は、最新の「院長のコラム」をご参照ください。

・胃腸炎が幼児・学童の間でみられます。主症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。

・インフルエンザの流行は一時休止しています。当院において、昨年の最終週は140人を数えましたが、今年の第1週は34人にとどまりました。しかし減ったといっても警報レベル(1週間に30人)を超えています。今後、幼稚園や学校の再開に伴って感染者数が再増加する可能性が高いと見込まれます。現在、AH1N1型 が9割以上を占めています。今後、AH3N2型やB型が流行する可能性もあるため、一度罹ったら今シーズンはもう罹らないと安心することはできません。インフルエンザに罹ると、脳症や肺炎など重症化するケースも稀にあり、引き続き注意が必要です。ワクチン接種は重症化の阻止に有効とされています。

・新型コロナウイルス感染症の流行も一時休止しています。当院は1週間に02人です。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。

・マイコプラズマによる肺炎が春以来、幼児・学童の間で流行しています。ただし昨年の秋に比べると、発生数は減少していると思われます。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり、数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴です。

・水痘(水ぼうそう)が一部の学校散見されます。12月、当院で21名を数えました。ワクチン二回接種済みでも感染することがありますが、その場合の症状は一般に軽度です。

・おたふくかぜ流行はありません。

・麻疹は昨年、全国で45名の報告がありました。風疹は昨年、全国で7名の報告がありました。いずれも神奈川県内の発生はゼロでした。麻疹は5001000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は1218人に感染させます(インフルエンザが13人であることから、感染力の大きさを想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。成人男性(昭和3742日から昭和5441日までに生まれた男性)を対象とした抗体価測定(無料)とワクチン接種(無料、定期接種)が国の施策により行われています。本制度の期限が2024年度まで延長されました。該当する方は検査とワクチン接種をご考慮ください。当院においても受け付けています。また神奈川県は、昭和3342日から昭和6341日までに生まれた男性(国制度の昭和3742日から昭和5441日までを除く)ならびに妊娠希望の女性(年齢制限なし)を対象とした抗体価測定(無料)を実施しています。こちらも当院において受け付けています。本制度の期限は2025310日です。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(56歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。

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