インフルエンザの流行はほぼ収束しました。流行の開始と収束が例年よりも1〜2ヶ月早く、ピークは12月後半でした。流行株はA型にほぼ限られ、B型は当院で一人も診ませんでした。B型は隔年で流行する傾向があり、今季流行しなかった分、来季は要注意です。インフルエンザの収束と前後して、季節性のかぜが増えてきました。スギ花粉症を発症する方も多く、鼻汁・鼻閉がある時はかぜとの鑑別が必要です。
・急性上気道炎(かぜ)が増えています。咳と鼻水が特徴です。短期間の発熱を伴うことがあります。
・溶連菌による急性咽頭炎が幼児・学童の間で増えています。発熱と咽頭痛と発疹(紅斑)が特徴です。
・胃腸炎が増えています。嘔吐、腹痛、発熱で始まり、下痢に移行することが多いです。ノロウイルスが主な原因と思われます。
・インフルエンザの流行はほぼ収束しました。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は1.68人です。当院で1週間に0〜1人です。
・新型コロナウイルスの流行も下火になっています。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は4.41人です。当院で1週間に1〜2人です。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。
・マイコプラズマの流行は収束に向かっていますが、まだときおり散見されます。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴で、肺炎に進行するケースもあります。
・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス(急性細気管支炎の原因となるウイルス)が散発しています。ヒトメタニューモウイルスの詳細は最新の「院長のコラム」をご参照ください。
・水痘(水ぼうそう)が数ヶ所の小学校で流行しています。ワクチン2回接種済みでも罹ることがありますが、症状は比較的軽度です。今月の感染者数は19名でした。
・おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は昨年、全国で45名の報告がありました(今年3名です)。風疹は昨年、全国で7名の報告がありました(今年2名です)。昨年以来、神奈川県内での発生はありません。麻疹は500〜1000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は12〜18人に感染させます(インフルエンザが1〜3人であることから、感染力の大きさをご想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。
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